PRESIDENT 2022年12月16日号

PRESIDENT 2022年12月16日号

『SDGs』×『知的財産』
企業の収益化の仕組みを構築する

北浜国際特許事務所・所長 前井宏之(弁理士)

 

「知を活かす経営戦略」をスローガンに知財業務を手がける北浜国際特許事務所。同所は、北浜グループの経営コンサル部門を担う北浜グローバル経営㈱との融合による「知財権利化」×「経営コンサル」のアプローチを強みとする。所長・前井宏之氏が、昨今のSDGs領域における知財活用について解説。その上で経営コンサル視点を交えつつ、戦略を全体最適化する重要性を語る。

SDGs志向が高まる近年、企業における知財活用の有効性

【企業がSDGsの達成を目指す意義について、どのように考えますか?】

いま、グリーン技術などの新しい領域が、社会に大きなインパクトを与えています。
この背景の一つが、SDGs(持続可能な開発目標)。近年、投資家や消費者はSDGsの達成を意識したサステナブルな経営や商品開発を行う企業に賛同する傾向にあります。また、欧米など影響力のある地域がSDGsに即した規制・規格を制定する中で、その流れに沿わない製品開発を進めることは将来的な収益悪化を招きかねません。したがって、企業はSDGsの達成を目指さざるを得ない状況にあります。

【SDGsを目指す企業の知財活用についてどのように考えますか?】

一般に、知財の創造には多大な投資が伴います。ただ、知財の「創造-保護-活用」の繰り返しからなる知的創造サイクルを回すことで、投資を回収できます。通常の知的創造サイクルは、知財権を保有する企業が他社の介入を排除して、自社で独占してきました。しかし、SDGs実現への動きを加速させるためには、SDGs領域の知財の創造・保護・活用に莫大な資金・人材を注ぎ込まなくてはなりません。そのため、一社単独ではなく、地球規模で複数企業が連携する必要があるのです。

さらに、東京証券取引所によるコーポレートガバナンス・コードでは、上場会社に対し、地球環境問題への配慮など、自社のサステナビリティに関する取り組みや、人的資本・知的財産への投資に関して、情報開示すべきだと定めています。

このように、今後の企業経営には、経営戦略の観点からSDGs領域の知財を有効的に活用することが不可欠です。

収益化の仕組みをつくる、戦略の全体最適化とは

【北浜国際特許事務所は、SDGsの実現を目指す企業にどのような貢献ができると考えますか?】

従来、多くの企業で、研究開発部門、知財部門および事業部門が、独自に策定した戦略を相互に調整してきたことでしょう。しかし、知財の活用によるSDGs実現には、このような部分最適化の調整では不十分で、経営戦略をふまえた「研究開発戦略」「知財戦略」「事業戦略」の全体最適化が求められます。これはつまり、経営戦略の視点から、三戦略を総合的・有機的にアレンジして調整することを意味します。

特に企業の知財を扱う部門は、研究開発戦略と事業戦略を俯瞰的に把握できる立場にあり、三戦略を全体最適化するのに相応しいと考えられます。ただこの場合、知財部門には、技術・知財の知識や経験による分析だけでなく、各種フレームワークを駆使した企業分析や市場分析を行った戦略提言を経営層にはかる経営コンサル的アプローチも要求されます。さらに、研究開発、知財および事業のそれぞれについて他社と連携することも視野に入れるべきでしょう。

これらを念頭に置いた上で、特許事務所がSDGsの実現を目指す企業に貢献するには、他社連携を視野に入れた企業の経営戦略と、SDGsの世界的背景をふまえて収益化の仕組みを構築する三戦略の全体最適化に関わる提案が必要です。知財を収益化する手法の一例として、自社特許を、他社利用可と他社利用不可の二つの領域にライセンスで区切り、他社に利用させる領域においては、パテントプール・標準化等の仕組みを構築します。この場合、三戦略の全体最適化によって知的創造サイクルをスムーズに進め、収益化を促進する効果が期待できます。

知財を収益化する手法の一例

弊所の強みは、北浜グローバル経営との融合による「知財権利化」×「経営コンサル」のアプローチができることです。経営コンサルとしての視点をも有する弊所では、三戦略を俯瞰する立場で全体最適化に向けた提案を行い、知的創造サイクルに基づく企業の収益化の仕組み構築をサポートしています。また、SDGs領域の新分野に関する技術的・知財的知見の取得にも積極的に取り組んでいます。

弊所はこれからも、持続的な収益化の仕組み構築に貢献します。その上でSDGsという目的を見据えながら、企業に最大限の価値を提供いたします。

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