中国知識産権局2021年度知財保護白書を発表(2)

目次

要旨:中国の知財情報をより一層活用していただくために、2022年4月24日に発表された中国知識産権局2021年度知財保護白書の要旨および当所の見解を紹介する。

前回、中国知識産権局2021年度知財保護白書における特許、実用新案、意匠、商標などに関する審査統計データを紹介した。引き続き、今回は、中国知識産権局2021年度知財保護白書における中国知財の司法保護および行政保護の状況などを紹介する。

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司法保護の状況

知的財産に関する民事裁判

2021年、中国最高人民法院(最高裁判所に相当)は、知的財産に関する民事訴訟案件4,243件を新たに受理し、3,557件(繰り越された案件を含む)を結審させた。全国の地方各級人民法院(地方裁判所に相当)は、知的財産に関する民事訴訟の第一審案件を新たに合計550,263件受理し、515,861件(繰り越された案件を含む)を結審させた。そのうち、外国関連の第一審案件が6,573件であり、6,419件が結審された。特・実・意に関する案件が31,618件であり、商標に関する案件が124,716件、著作権に関する案件が360,489件、技術契約に関する案件が4,015件、不正競争に関する案件が8,419件、知的財産に関するその他の案件が21,006件である。全国の地方各級人民法院は、知的財産に関する民事訴訟の第二審案件を新たに合計49,084件受理し、45,468件(繰り越された案件を含む)を結審させた。

知的財産に関する行政訴訟

2021年、中国最高人民法院は、知的財産に関する行政訴訟案件2,852を新たに受理し、2,487件(繰り越された案件を含む)を結審させた。全国の地方各級人民法院は、知的財産に関する行政訴訟の第一審案件を合計20,563件新たに受理し、19,342件(繰り越された案件を含む)を結審させた。そのうち、外国関連の第一審案件が3,894件であり、3,749件が結審された。特・実・意に関する案件が1,810件であり、商標に関する案件が18,734件、著作権に関する案件が19件である。全国の地方各級人民法院は、知的財産に関する行政訴訟の第二審案件を合計8,215件新たに受理し、7,418件(繰り越された案件を含む)を結審させた。結審させた案件のうち、5,636件が支持され、1,597件が修正され、1件が差し戻し、145件が取り下げとなり、11件が却下され、28件がその他である。

知的財産に関する刑事事件

2021年、全国の地方各級人民法院は、知的財産権侵害に関する第一審刑事事件6,276件を新たに受理し、6,046件(繰り越された案件を含む)を結審させた。そのうち、外国関連の第一審案件が2件であり、1件が結審された。結審させた第一審刑事事件のうち、登録商標偽造罪に関する案件が2,558件であり、偽造登録商標商品販売罪に関する案件が2,623件、登録商標不法製造・販売に関する案件が476件、著作権侵害罪に関する案件が313件、模倣品販売罪に関する案件が15件、営業秘密侵害罪に関する案件が61件である。

知的財産に関する刑事犯罪の取り締まり

2021年、全国の公安機関は、知的財産権侵害の刑事事件および偽造・模倣品の製造・販売の刑事事件、計21,000件以上を捜査して解決し、37,000人以上の犯罪容疑者を逮捕した。

行政保護の状況

特許行政保護の強化

2021年、全国の各級市場監督部門は、特許偽造違法案件0.48万件を調査・処理した。全国の知的財産管理部門は、特許侵害紛争の行政事件4.98万件を処理し、前年比18.6%増となる。国家知識産権局は、医薬品特許紛争早期解決メカニズムに関する行政裁定事件12件と重大な特許侵害に関する行政裁定事件2件を受理した。

商標行政保護の強化

2021年、全国の市場監督部門は、商標違法事件3.95万件を調査・処理し、前年比26.2%増となり、事件額は9.83億人民元(約196億円)、前年比24.4%増、没収額が6.86億人民元(約136億円)、前年比2%減となる。そのうち、商標権侵害・偽造事件が3.57万件であり、前年比20.6%増、事件額は9.45億人民元(約188億円)、前年比23.5%増となり、没収額が6.37億人民元(約126億円)、前年比6%減となる。商標侵害犯罪の疑いのある事件1,011件は、法律に従って司法機関に移送された。

著作権行政保護の強化

2021年、全国の各級著作権法執行機関は、実体市場の関連組織・団体36.17万個(回)を検査し、権利侵害・海賊版関連案件3,095件を調査・処理し、権利侵害・海賊版に関するWebサイト(APP)1066個を閉鎖、権利侵害・海賊版に関するリンク119.7万個を削除し、オンラインビデオ、オンラインライブブロードキャスト、eコマース、およびその他の関連するネットワークサービスプロバイダーに、各種の権利侵害リンク846.75万リンクを削除させた。

不正競争の行政保護の強化

2021年、合計5,455個の営業秘密保護基地が設立された。全国の市場監督部門は、各種の不正競争事件8,563件を調査して処理し、5.73億人民元(約114億円)の罰金を科した。

植物新品種の行政保護の強化

2021年、全国に合計66.78万人回の法執行官が現場に派遣され、8.37万件のサンプルが採取された。事件に関して、7,101件が提訴され、6,331件が結審、93件が司法機関に移送された。5,640件の処罰結果情報が開示され、事件に係る種子が543.69万kgであり、事件額が5,628万人民元(約11.2億円)である。

税関行政保護の強化

2021年、全国の税関は、権利侵害の疑いのある輸出入商品7.92万ロット、計商品7180.28万点を押収した。そのうち、商標権侵害に関する商品が7.89万ロット、6804.63万点であり、特許権侵害に関する商品が85ロット、293.33万点であり、著作権侵害に関する商品が233ロット、81.47万点であり、オリンピック標識および万国博覧会標識に関する商品が8ロット、8381点である。

EC 市場の行政保護の強化

2021年、全国の市場監督部門は、ウェブサイト(オンラインショップ)933.81万個(回)をオンラインで点検し、違法な商品情報113.45万リンクを削除、ウェブサイト1.81万個(回)に修正を命じ、ウェブサイトの閉鎖を4,042回要求、プラットフォームサービスのオンラインストアを停止するように2.54万回命令し、違法事件2.2万件を調査して処理した。

以上、二回に分けて中国知識産権局2021年度知財保護白書に関する内容を紹介した。中国経済の発展に伴い、知的財産の保護状況がますます改善され、保護状況の現状紹介が日本企業の中国進出に役に立つと考えられる。今後も中国の知的財産の最新保護状況を紹介していく。

参照文献:「2021年中国知識産権保護状況」、中国国家知識産権局

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