中国知識産権局2021年度知財保護白書を発表(1)

目次

要旨:中国の知財情報をより一層活用していただくために、2022年4月24日に発表された中国知識産権局2021年度知財保護白書の要旨および当所の見解を紹介する。

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2022年4月24日に、中国知識産権局2021年度知財保護白書が発表され、2021年度(1月~12月)における特許、実用新案、意匠、商標などに関する審査統計データおよび中国知財に関する司法保護状況、行政保護状況が公表された。以下、2021年度知財保護白書の要旨および当所の見解を紹介する。

審査登録の状況

特許・実用新案・意匠

2021年に、中国での審査登録件数は、特許および商標ともに前年比30%以上伸びている。具体的には、特許登録件数は69.6万件であり、2020年の53.0万件より31.3%の増加となり、実用新案登録件数は312.0万件であり、2020年の237.7万件より31.2%の増加となり、意匠登録件数は78.6万件であり、2020年の73.2万件より7.3%の増加となった(図1を参照)。

図1に示すように、日本とは違い、中国では実用新案登録件数が特許登録件数よりだいぶ超えている。実用新案登録件数が多い理由としては、中国では実用新案権は特許権とほぼ同じ保護が受けられることが考えられる。

2021年に、中国特許庁のPCT出願受理件数は7.3万件であり、2020年の7.2万件より1.5%の増加となった。そのうち、中国国内出願人の件数は6.83万件であり、2020年の6.7万件より2.1%の増加となった(図2を参照)。コロナ禍による経済影響にもかかわらず、中国のPCT出願件数が3年連続で世界トップになっていた。コロナ禍の2021年に、中国で外国出願人の知財活動に大きな影響があったが、国内出願人の権利取得活動には大きなダメージはなかったと考えられる。

2021年に、中国特許庁の復審(拒絶査定不服審判)請求の受理総件数は7.6万件であり、2020年の5.5万件より39.2%の増加となった。そのうち、特許の復審請求は7.4万件で、総件数の96.7%、実用新案の復審請求は2,153件で、総件数の2.8%、意匠の復審請求は339件で、総件数の0.49%となった(図3を参照)。

2021年、復審において審決された件数は5.4万件であり、2020年の4.8万件より12.4%の増加となった。そのうち、特許に関する審決件数は4.8万件であり、実用新案に関する審決件数は5,300件であり、意匠に関する審決件数は575件である。なお、2021年年末まで復審請求件数は通算で40.1万件に対して32.0万件が審決され、平均審決期間は16.4カ月であり、2020年年末までの平均審決期間14.1カ月より延長されている。平均審決期間が延びたのは、都市ロックダウンや在宅勤務などの新型コロナ対策が原因であると考えられる。

図1と図3に示すように、実用新案登録件数が特許登録件数より多いのに対して、実用新案の復審請求件数は特許の復審請求件数より少ない。その理由としては、実用新案が形式審査のみで登録されるので、形式審査に対する争いは少ないと考えられる。

2021年に、中国特許庁の無効審判請求の受理総件数は7,628件であり、2020年の6,178件より23.5%の増加となった。そのうち、特許の無効審判請求は1,713件であり、総件数の22.5%となり、実用新案の無効審判請求は3,330件であり、総件数の43.7%となり、意匠の無効審判請求は2,585件で、総件数の33.9%となった(図4を参照)。2021年、無効審判請求において審決がされた件数は7,065件であり、2020年の7,144件より1.1%の減少となった。そのうち、特許に関する審決件数は1,671件であり、実用新案に関する審決件数は3,061件であり、意匠に関する審決件数は2,333件である。なお、2021年年末までの無効審判請求件数は通算7.5万件に対して7万件が審決され、平均審決期間が5.8カ月であり、2020年年末までの平均審決期間5.9カ月より短縮されている。

商標

2021年に、商標登録件数は773.9万件であり、2020年の576.1万件より34.3%の増加となった。

著作権

2021年に、著作権登録件数は626.44万件であり、2020年の503.9万件より24.30%の増加となった。そのうち、作品登録件数が398.39万件であり、前年比で20.13%の増加、コンピューターソフトウェア著作権登録件数は228.01万件であり、前年比で32.34%の増加となった。

地理的表示

2021年に中国で新たな地理的表示保護製品が99個認定され、通算で2,490個が認定された。

植物新品種

2021年の中国での農業植物新品種の出願件数は9,721件であり、前年比で22.85%の増加となった。農業植物新品種の登録件数は3,218件であり、2020年の2,549件より26.25%の増加となった。

税関保護

2021年に、知的財産権の関税保護登録の申請件数は20,133件であり、登録件数は17,667件であった。

以上、中国知識産権局2021年度知財保護白書における特許、実用新案、意匠、商標などに関する審査統計データを紹介した。中国知的財産権保護がますます発展していくと考えられる。次回、中国知識産権局2021年度知財保護白書における中国知財の司法保護および行政保護の状況などを紹介する。

参照文献:「2021年中国知識産権保護状況」、中国国家知識産権局

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