米国のAI関連特許の最新実務情報

目次

要旨:米国でのAI関連発明の特許性判断基準、AI関連技術の明細書と請求項の書き方、テクノロジーセンター2100などを紹介する。

AI関連発明の特許性判断基準

AI関連の発明の特許性を判断する基準は、すべての発明に適用される基準と同じである。具体的には、新規かつ有用なプロセス、機械、製造物、物質の組成物、またはそれらの新規かつ有用な改良物を発明もしくは発見した人には、特許が付与される。経験では、米国特許商標庁(USPTO)の審査官は、AI関連の特許出願を審査する際に、他の技術の特許出願と同じ基準を適用している。

AI関連技術の明細書と請求項の書き方

AI関連発明の記述的かつ手続き的性質のため、AI関連発明の特許出願は、35U.S.C.(米国特許法)§101および35U.S.C.§112に基づく拒絶を受ける可能性が高いと考えられる。この点について、AI関連の出願に対する35U.S.C.§112 および35U.S.C.§101の拒絶を回避または克服するため、以下のポイントを提案する。

・AIのコンセプトを詳細に記述する
・詳細なフローチャート、決定ツリー、および/または数学的方程式を含めて、AI発明で使用されるアルゴリズムを記述する
・AI発明が動作する環境など、AI発明の背景を記述する
・AI発明の複数の異なる具体的な使用例を記述する
・AI発明の複数の異なる実施形態を記述する
・独立クレームの特定の特徴(すなわち、発明的特徴)がどのように技術的利点を達成するのに役立つかを含め、AI発明の技術的利点を詳細に記述する
・AI発明が動作する可能性のあるすべてのハードウェアを記述する
・出力がある場合、出力がどこに送られるかを記述し、出力をさらなる作用のために使用して視覚的、聴覚的、または振動的にユーザーに提示する場合であっても、出力がどのように使用されるかを記述する

その他

USPTOでは、テクノロジーセンター2100が人工知能(AI)技術を含む、コンピュータアーキテクチャおよびソフトウェアを扱うことになっている。しかし、USPTOがAI関連の発明をビジネス方法やEコマース技術に関連するものとして分類する可能性がある場合には、その発明をテクノロジーセンター3600に割り当てることができる。ただ、多くの審査官の特許許可率が非常に低いため(例えば、0~9%)特許許可率が低くなっている。

そのため、テクノロジーセンター3600に分類されないように、例えば、クレームや明細書に「business」や「commerce」などの言葉を使わずにクレームや明細書を作成することを勧める。また、特許出願が割り当てられる審査部門を予測するサービス(Patent Bots Art Unit Predictorなど)を利用して、特許出願の特許許可率の低い審査部門への分類を回避することも対策の一つである。このようなサービスは、特許許可率の低いUSPTOの審査部門への特許出願の割り当てを保証するものではないが、戦略の一つである。

参照文献
(1)Artificial Intelligence by USPTO
https://www.uspto.gov/initiatives/artificial-intelligence
(2)「The US has decided “individuals” need to be natural people」 2021年9月3日
https://www.theverge.com/2021/9/3/22656039/ai-inventor-patent-copyright-uspto-federal-courtruling
(3)「How To Patent An Artificial Intelligence (AI) Invention」 2021年3月26日
https://www.mondaq.com/unitedstates/patent/1051174/how-to-patent-an-artificial-intelligence-aiinvention-guidance-from-the-us-patent-office-uspto

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