TRADEMARK 欧州商標制度の概要とフローチャート

欧州連合知的財産庁(EUIPO)への出願

商標出願後、EUIPOでは、商標出願に必須の基本情報(願書、正式な所有者、商標の明確な表述、商品およびサービスのリスト)が含まれているかどうかを審査する。そして、商品およびサービスのリストが正しく分類されているか、その性質が明確に示されているを確認する。さらに、EUIPOでは、出願の署名、言語、所有者や代理人のデータ、優先権や優先順位の主張など、さらなる形式について審査する。出願料は、出願日の翌日から1カ月以内に支払わなければならない。EUIPOが瑕疵を発見、または異論がある場合、EUIPOは代理人に対して、不備を修正して回答するための期限を2カ月以内と設定して、発見した内容を示す通知書を送る。

実体審査

実体審査では、商標が特徴的であるかどうか、記述的でないかどうかが分析される。商標出願が審査要件を満たさない場合、EUIPOは商標出願の全部または一部を拒絶する。EUIPOが瑕疵を発見した場合、または異論がある場合、発見した内容、および、2カ月以内に不備を修正して回答する旨を示す通知書を代理人に送付する。

先行権利のサーチ

請求があれば、EUIPOは、EU商標データベースにおいて、過去の同一および/または類似の商標の調査を行い、調査報告書を作成し、出願公開前に出願人に送付する。報告書に引用された商標出願または登録商標の所有者には、当該出願の調査レポートで引用された旨の通知が書簡で送られる。これは「引用された旨の通知(surveillance letter)」と呼ばれる。調査報告書と引用された旨の通知(surveillance letter)は、情報提供のみを目的としており、先行権利の所有者が異議申立を唱えた場合にのみ、登録を拒絶することができる。

公開

異議申立がなければ、EUIPOは23のEU公用語で商標を公開する。

登録に対する第三者拒絶

第三者は、商標登録すべきでないと判断する場合、下記どちらかの理由に基づき、出願の公告日から3カ月以内に異議申立をすることができる。

1.第三者が一つまたは複数の先行権利を有しており、商標出願が登録されればそれに抵触すると考える場合(以下「異議申立」)
2.第三者は、当該商標が特徴的でない、保護される商品およびサービスが不明確であり、明確に表現されていないという絶対的な拒絶理由で、当該商標が登録すべきではないと考える場合(「第三者意見」)

異議申立の手順

異議申立書を提出し、手数料を支払えば、異議申立をすることができる。異議申立が行われると、該商標出願は、異議申立手続に移行しなければならない。EU商標出願の5件に1件は、すでに市場に出回っている商標の所有者から異議申立を受けている。EUIPOは、出願人と異議申立人の両当事者が証拠と意見書を提出した後に、この紛争について決定を下す。異議申立の決定はすべてオンラインで公開され、不利益を被ったすべての当事者は上訴する権利がある。異議申立が成功した場合、拒絶されたEU商標出願は、抵触が存在しない場合、国内登録に変更可能である。出願人は、潜在的な抵触を出願前に調査することで、異議申立のリスクを最小化することができる。

登録

異議申立や第三者意見がない場合、商標出願は登録され、登録が公告される。登録公告は無料であり、商標登録証が発行される(商標登録証は紙媒体では発行されない)。

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