UTILITY MODEL 中国実用新案制度の概要とフローチャート

概要

中国の実用新案において、出願提出から実用新案権付与までのプロセスは、主に、(1)出願提出、(2)方式審査、(3)復審、(4)実用新案権付与である。そのうち、最終的に実用新案権が付与される場合、(1)出願提出、(2)方式審査、(4)実用新案権付与は必須プロセスであり、(3)復審は、(2)方式審査において実用新案が拒絶された場合に限って進められる。

実用新案権は公告の日から発効する(特許法第40条)。実用新案権の存続期間は10年であり、出願日(優先権日ではない)から起算する(特許法第42条の1)。

(1)出願提出

・出願の際は、中国語を使用しなければならず、中国語を使用していない場合は受理されない。同時に、願書、明細書、請求の範囲、および明細書の図面を少なくとも提出しなければならず、その内一つでも欠けた場合は受理されない(特許法実施細則第39条)。
・パリルートの出願は優先権日から12カ月以内に提出しなければならない(特許法第29条)。出願日から2カ月以内または受理通知書を受領した日から起算して15日以内に出願費、公布印刷費、必要な出願付加費を納付しなければならず、優先権を主張する場合は、出願費の納付と同時に優先権主張費を納付しなければならない(特許法実施細則第95条)。
・中国国内移行のPCT出願は優先権日から起算して30カ月(最長は32カ月であるが、期限延長費が必要)以内に提出しなければならない(特許法実施細則第103条)。国際出願日は中国国内移行のPCT出願の出願日とみなされる(特許法実施細則第102条)。中国国内移行手続きを行う際、出願費、公布印刷費を納付しなければならず、場合によって、期限延長費も納付する必要がある。優先権を主張する場合、出願人は移行日から2カ月以内に優先権主張費を納付しなければならない。
・第1出願人が、中国大陸地区に常時居住地または営業所のない外国人、外国企業または外国の他組織である場合は、法に基づき設立された特許代理機構に委任しなければならない(特許法第18条の1)。
・出願人は同日に同一の発明創造について実用新案も特許も出願することができ、先に取得された実用新案権がまだ終了せず、かつ出願人が当該実用新案権の放棄を声明した場合は、特許権を付与することができる(特許法第9条)。
・①親出願において実用新案権付与通知書を受領した日から起算して2カ月以内、②親出願において拒絶査定を受領した日から起算して3カ月以内、③親出願において復審請求を提出した後または復審決定を不服として提訴する期間、④取り下げとみなされる親出願において権利回復手続きをした後、のいずれか一つの時期に分割出願を提出することができる。分割出願から再び分割される出願の提出可能な時間は親出願に基づくが、分割出願に単一性の欠陥が存在するため、出願人が審査官の審査意見に従い分割出願を再び提出する場合を除く。

(2)方式調査

・方式審査において、主に、①出願書類の形式審査、②出願書類の顕著な実質的欠陥の審査、③他の書類の形式審査、④関連費用の審査が行われる。方式審査においては、新規性および実用性を具備しないか、また進歩性を明らかに具備しないか(改訂後の審査指南による)は審査される。
・中国国内移行のPCT出願は、移行と同時にPCT第19条またはPCT第34条による補正内容を審査の基礎として選ぶことができる。
・出願人は、パリルートの出願の場合には出願日から起算して2カ月以内に自発補正を提出することができ(特許法実施細則第51条の2)、中国国内移行のPCT出願の場合には、移行時にPCT第28/41条により自発補正を提出することもでき、移行日から起算して2カ月以内に自発補正を提出することもできる。2カ月を超えた補正について、補正された書類が元の出願書類の欠陥を取り除き、かつ権利付与の見通しがある場合、当該補正処理は認められる。自発補正の内容は元の明細書および請求の範囲に記載の内容を超えてはならない(特許法第33条)。
・出願人は、補正通知書または審査意見通知書を受領した日から起算して2カ月以内に補正または意見陳述をしなければならない。各補正・審査意見通知書に対しては、1カ月または2カ月の延期を1回のみ請求することができる。期限までに補正・審査意見通知書に回答しない場合、審査官は場合によって取り下げとみなす通知書または他の通知書を送付する(所定の期限内に権利を回復できる)。
・出願人は補正・審査意見通知書を受領した後で出願書類を補正する場合、通知書で指摘された欠陥について補正しなければならない(特許法実施細則の第51条の3)。補正内容は元の明細書および請求の範囲に記載の内容を超えてはならない(特許法第33条)。
・実用新案は、遅延審査請求を提出することができない。

(3)復審

復審は、拒絶された出願のみを対象とし、取り下げとみなされる出願や取り下げられた出願には適用されない。

・拒絶査定を受領した日から起算して3カ月以内に国務院専利行政部門に復審を請求し(特許法第41条の1)、復審請求費を納付しなければならない(特許法実施細則第96条)。
・復審請求が受理された後、拒絶査定を下した元の審査部門により前置審査を行い、元の審査部門が拒絶査定の取り消しに同意する場合、合議審査に入らない(特許法実施細則第62条)。
・専利復審委員会が合議審査において欠陥を見つけた場合は復審通知書を送付し、出願人は、通知書を受領した日から起算して1カ月以内に書面回答しなければならず、回答しても規定に合致しない場合、元の拒絶査定を維持する決定が下される(特許法実施細則第63条の1)。同一の復審通知書に対しては、最多で1カ月または2カ月の延期を2回請求することができ、同時に相応の費用を納付する必要がある(1回目の延期:300元/月、2回目の延期:2000元/月)。
・復審段階においては、復審請求提出時、復審通知書回答時、口頭審理参加時のみ文書を補正することができる。拒絶査定または復審通知書で指摘された欠陥のみを補正することができ、元の明細書および請求の範囲に記載の内容を超えてはならない。
・復審決定に不服がある場合、復審決定を受領した日から起算して3カ月以内に裁判所に提訴することができる(特許法第41条の2)。

(4)実用新案権付与

・方式審査を経て拒絶理由が見つからない場合、国務院専利行政部門により実用新案権付与の決定を下し、実用新案権利証明書を送付し、同時に登録および公告を行う。実用新案権は公告の日から発効する(特許法第40条)。
・実用新案権付与通知を受領した日から起算して2カ月以内に登録手続きを行い(特許法実施細則第54条)、手続きを行う際に登録費、公告印刷費および実用新案権付与年の年金を納付しなければならない(特許法実施細則第97条)。

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