TRADEMARK 中国商標制度の概要とフローチャート

概要

商標は商品あるいはサービスの出所を識別し、区分するための標章である。自然人、法人またはその他の組織の商品を他人の商品と区別することができる文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状、色彩の組み合わせおよび音声等、並びにこれらの要素の組合せを含む標章は、すべて商標として登録出願することができる。

出願は、国家工商行政管理局に属する商標局に対して行い、出願手続きは、主に(1)出願、(2)方式審査、(3)実体審査、(4)出願公告、(5)登録公告の手順で進められる。

(1)出願提出

・商標局は新規商標出願を受理した後、代理機構は商標局から領収書を受け取ることができ、出願番号が表示される(商標が順調に登録されれば、出願番号が登録番号となる)。この審査には通常1カ月を要する。
・商標出願人は、その商標を外国で初めて登録出願した日から6カ月以内に、中国で同一商品について同一の商標登録出願をするとき、当該国と中国が締結した取り決めもしくは共同で加盟している国際条約、または相互に承認する優先権の原則により、優先権を享受することができる。(商標法第25条の1)
・前項の規定により優先権を主張する際は、商標登録出願時に書面で主張し、かつ3カ月以内に最初の出願に係る商標登録出願の願書の副本を提出しなければならない。書面による主張がない場合、または期間内に商標登録出願の副本が提出されなかった場合、優先権を主張しないものとみなされる。(商標法第25条の2)
・中国政府が主催または承認した国際展示会に出展した商品に最初に使用された商標であって、かつ当該商品が出展された日から6カ月以内である場合、当該商標の出願人は、優先権を享受することができる。(商標法第26条の1)
・前項の規定により優先権を主張するときは、商標登録出願をする時に書面で主張し、かつ3カ月以内にその商品が出展された展示会の名称、出展された商品に当該商標を使用した証拠、出展期日等の証明書類を提出しなければならない。書面による主張がない場合、または期間内に証明書類が提出されなかった場合、優先権を主張しないものとみなされる。(商標法第26条の2)

(2)方式調査

・商標局は出願書類を受領した日から起算して1カ月程度で「受理通知書」が発行され、「受理通知書」の受領をもって、出願書類が商標局の方式審査に合格したことを証明し、実体審査段階に入る。
・審査の過程において、商標局は、商標登録出願の内容に関して説明または補正が必要と判断した場合、出願人に説明または補正を要求することができる。出願人が説明または補正を行わない場合も、商標局の審査決定に影響を及ぼさない。(商標法第29条)
・出願人ははっきりしたカラーの図面を提出しなければならず、縦および横が、10cmを超えず、5cmを下回らない大きさのものでなければならない。
・立体標識を商標登録出願する場合、商標の図面は立体的形状を体現でき、提出する商標見本は少なくとも三面図(正面図、側面図、底面図、平面図など)を含まなければならない。提出する多面図は、同じ立体的標識に属するものとし、多面図を含むパターン全体は、10×10cm以下、5×5cm以下でなければならない。
・立体標識に文字が含まれている場合、文字部分は立体形状の図面内に正確に表示されていなければならず、図面から独立してはならない。
・音声標識で商標登録出願する場合、商標として出願した音声を五線譜または簡譜で記述し、文字説明を添付しなければならない。五線譜または簡譜により説明できない場合、文字により説明しなければならない。商標の説明は音声見本と一致しなければならない。注意:商標全体の説明(五線譜または簡譜、文字説明を含む)は1部の商標図面内で作成しなければならない。説明は正確で、完全で、客観的で理解しやすいものでなければならない。例えば、音声見本に歌詞がある場合、商標説明においても歌詞を説明しなければならない。また、五線譜や簡譜には楽曲名を含まなくてよい。
・音声標識を商標登録出願する場合、その旨を願書に声明し、要件に沿った音声サンプルを提出しなければならない。音声サンプルは一つの音声ファイルに保存しなければならない。紙方式で提出する場合、音声ファイルはCD-ROMに保存しなければならない。オンライン方式で提出する場合、要件に従って正しく音声サンプルをアップロードしなければならない。音声サンプルのファイルはwavまたはmp3(音声フォーマット)であり、5MB(情報容量の単位)を下回るものでなければならない。注意:商標の説明は音声サンプルと一致しなければならない。
・色彩の組み合わせで商標登録出願をする場合、商標の図面は、色彩の組み合わせ方式を示すカラーエリアか、または色彩の使用位置を示す図形の輪郭でなければならない。当該図形の輪郭は商標の構成要素ではなく、点線で示すべきであって、実線で示してはならない。

(3)実体審査

・通知書を受理してから約6〜9カ月ほどで実体審査が完了し、実体審査に合格すると、商標局は出願公告を公布する。公告期間は3カ月である。
・出願を拒絶し公告しない商標について、商標局は、商標登録出願人に書面で通知しなければならない。商標登録出願人に不服があるときは、通知を受領した日から15日以内に、商標評審委員会に再審を請求することができる。商標評審委員会は、請求を受領した日から9カ月以内に決定を下し、請求人に書面で通知しなければならない。特別な事情があり、延長が必要な場合は、国務院工商行政管理部門の許可を得て、3カ月間延長することができる。当事者が商標評審委員会の決定を不服とする場合、通知を受領した日から起算して30日以内に裁判所に提訴することができる。(商標法第34条)

(4)出願公告

・初歩登録査定の場合、初歩登録査定公告に掲載された後3カ月間の異議申立期間に入り、第三者からの異議申し立てがなければ、登録公告や商標登録証の発行等の手続きが行われる。これにより商標登録の手続きが完了し、商標出願人は当該商標の専用権を取得する。
・初歩査定で公告された商標に対して異議申立がある場合、商標局は、異議申立人および被異議申立人が陳述する事実および理由を聴取し、調査をして事実を明らかにした後、公告期間が満了した日から12カ月以内に登録を許可するか否かの決定を下し、異議申立人および被異議申立人に書面で通知しなければならない。特別な事情があり、延長する必要がある場合、国務院工商行政管理部門の許可を得て、6カ月間延長することができる。(商標法第35条の1)

(5)登録公告

・登録公告が公布された日から約1~2カ月程度(商標局が証明書を作成する期間)で商標登録証を取得することができる。
・商標局は登録決定を下す場合、商標登録証を交付し公告する。異議申立人が不服とする場合、商標法第44条、第45条の規定により、商標評審委員会に当該登録商標の無効宣告を請求することができる。(商標法第35条の2)
・商標局が不登録決定を下し、被異議申立人が不服とする場合、通知を受領した日から起算して15日以内に、商標評審委員会に復審を請求することができる。商標評審委員会は、請求を受領した日から12カ月以内に再審決定を下し、かつ異議申立人および被異議申立人に書面で通知しなければならない。特別な事情があり、延長が必要な場合、国務院工商行政管理部門の許可を得て、6カ月間延長することができる。被異議申立人は商標評審委員会の決定を不服とする場合、通知を受領した日から起算して30日以内に、裁判所に提訴することができる。裁判所は、異議申立人に対し、第三者として訴訟に参加することを通知しなければならない。(商標法第35条の3)
・登録商標の有効期間は10年で、当該商標の登録日から起算する。(商標法第39条)
・登録商標の有効期間が満了し、継続して使用する必要がある場合、商標登録者は、期間満了前の12カ月以内に規定に従って更新手続を行わなければならない。この期間に行うことができない場合、6カ月の猶予期間が与えられる。各登録の有効期間は10年で、当該登録商標の前回の有効期間が満了した翌日から起算する。期間が満了しても更新手続が行われない場合、当該登録商標を取り消す。(商標法第40条)
・商標評審委員会は、登録商標の無効宣告の請求を受領した後に書面で関係当事者に通知し、期間を定めて答弁書を提出させなければならない。商標評審委員会は、請求を受領した日から12カ月以内に登録商標の維持または登録商標の無効宣告の裁定を下し、書面で当事者に通知しなければならない。特別な事情があり、延長が必要な場合、国務院工商行政管理部門の許可を得て、6カ月間延長することができる。当事者は商標評審委員会の裁定を不服とする場合、通知を受領した日から起算して30日以内に、裁判所に提訴することができる。裁判所は、商標裁定手続の相手方当事者に対し、第三者として訴訟に参加することを通知しなければならない。(商標法第45条の2)

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