PATENT 中国特許制度の概要とフローチャート

概要

中国の特許において、出願提出から特許権付与までのプロセスは、以下に示すように、主に(1)出願提出、(2)方式審査、(3)出願公開、(4)実体審査、(5)復審、(6)特許権付与である。そのうち(1)出願提出、(2)方式審査、(3)出願公開、(4)実体審査、(6)特許権付与は必須プロセスであり、(5)復審は、(2)方式審査または(4)実体審査において特許が拒絶された場合に限って進められる。

特許権は公告の日から発効する(特許法第39条)。特許権の存続期間は20年であり、出願日(優先権日ではない)から起算する(特許法第42条の1)。

2021年6月1日に発効した改訂後の特許法の第42条の2によると、特許出願日から4年満了かつ実体審査請求の日から3年満了後に特許権が付与される場合、国務院専利行政部門(中国の特許庁に相当)は特許 権者の請求に応じて、出願人による不合理な遅延を除き、特許権付与までのプロセスにおける不合理な遅延に対して特許権期限補償を与えるべきであるとしている。

新薬の上場審査・認可に要する時間を補償するために、中国で上場許可を得た新薬に関する特許に対して、国務院専利行政部門は特許権者の請求に応じて、特許権期限補償を与えなければならない。補償期限は最大5年で、新薬特許の上場承認後の存続期間は合計14年となる。

(1)出願提出

・中国語で提出しなければならず、中国語を使用していない場合は受理されない(特許法実施細則第39条)。ただし、中国で提出されるPCT国際出願は中国語も英語も使用できる。しかし、中国国内移行のPCT出願は中国語しか使用できない。
・パリルートの出願は優先権日から12カ月以内に提出しなければならない(特許法第29条)。出願日から2カ月以内または受理通知書を受領した日から15日以内に出願費、公布印刷費、必要な出願付加費を納付しなければならず、優先権を主張する場合は、出願費の納付と同時に優先権主張費を納付しなければならない(特許法実施細則第95条)。
・中国国内移行のPCT出願は優先権日から30カ月以内に提出しなければならない。最長は32カ月であるが、期限延長費が必要となる(特許法実施細則第103条)。国際出願日は中国国内移行のPCT出願の出願日とみなされる(特許法実施細則第102条)。中国国内移行手続きを行う際、出願費、公布印刷費および期限延長費を納付しなければならない。優先権を主張する場合、出願人は移行日から2カ月以内に優先権主張費を納付しなければならない。
・中国大陸地区に常時居住地または営業所のない外国人、外国企業または外国の他組織が中国で特許を出願し、他の特許業務を行う場合は、法に基づき設立された特許代理機構に委任しなければならない(特許法第18条の1)。
・①親出願が特許権付与通知書を受領した日から2カ月以内、②親出願が拒絶された場合、拒絶査定を受領した日から3カ月以内、③親出願において復審請求を提出した後または復審決定を不服として提訴する期間、④親出願が取り下げとみなされた場合の権利回復手続きをした後、のいずれか1つの期間に分割出願を提出できる(審査指南)。親出願の出願日は分割出願の出願日とみなされる(特許法実施細則第43条の1)。分割出願から再び分割される出願の提出可能な時間は親出願に基づくが、分割出願に単一性の欠陥が存在するため、出願人が審査官の単一性欠陥審査意見を持って、分割出願特許権付与通知書を受領した日から2カ月以内に分割出願を再び提出する場合を除く。

(2)方式調査

方式審査は、書類の形式的な内容と提出時期および納付金額が、特許法および実施細則の規定に合致しているかを審査する。

・書類に補正できる欠陥があれば、補正により欠陥を除去すると通知し、補正できない欠陥があれば、場合によって、審査意見通知書を送付して欠陥の性質を指摘するか、未提出とみなす決定を下す。期限満了になっても書類が未提出であるか、費用が未納付または納付不足である場合、場合によって未提出もしくは取り下げとみなされる。
・補正または審査意見通知書に回答しても規定に合致しない場合、出願は拒絶される。

(3)出願公開

・パリルートの出願は、方式審査に合格した後、出願日(優先権日)から18カ月満了となって公開される。出願人は、早期公開を請求することができる(特許法第34条)。
・PCTルートの出願は、期限満了前の処理を除き、国際出願の多くが優先権日から18カ月満了後に国内段階に移行するため、特許法第34条の規定は適用されない。国際出願の方式審査の合格を専利局より認められた後、国内公開の準備作業が迅速に実施される。

(4)実体審査

・出願日(優先権日)から3年以内に実体審査請求を提出し(特許法第35条の1)、実体審査費を納付しなければならない(特許法実施細則の第96条)。中国国内移行の出願は、移行と同時にPCT19条またはPCT34条による補正内容を審査の基礎として選べる。
・特許遅延審査を請求する場合、出願人は実体審査請求と同時に提出しなければならず、遅延審査請求は実体審査請求の発効日から発効し、一旦提出すると取り消しができない。遅延期限は、遅延審査請求の提出日から1年から3年である。遅延期限満了後、当該出願は順番に審査を待つ。
・出願人は、パリルートの出願の場合には実体審査請求の提出時もしくは実体審査通知書を受領した日から3カ月以内に自発補正を提出でき(特許法実施細則第51条の1)、中国国内へ移行する出願の場合には、上記2つの時期の他に、移行と同時にPCT28/41条により自発補正を提出することもできる。ただし、補正内容は請求項、明細書、図面に記載された範囲を超えてはならない(特許法の第33条)。
・審査意見通知書に回答する場合、出願人は審査意見通知書において指摘された欠陥に対して意見を陳述もしくは補正する必要があり、自発的に補正してはならず、補正内容は保護の範囲を拡大してはならない(特許法実施細則第51条の3)。
・審査意見通知書に回答する場合、通知書を受領した日から2カ月(1回目は4カ月)以内に行わなければならない。各審査意見通知書に対して、1度だけ1カ月または2カ月の延期を請求することができる。期限までに審査意見通知書に回答しない場合、専利局から取り下げとみなす通知書が送付される(期限内であれば権利を回復できる)。
・出願人による意見陳述または補正を経ても規定に合致しない場合には拒絶されるが(特許法の第38条)、審査官は下記の場合、もう1度審査意見通知書を送付する。 ①請求項を改めて評価する必要がある場合
②規定に合致していない状況を新しく発覚した場合
③出願人による意見陳述または補正に対して新たな審査意見を提示する必要がある場合
④特許権が付与される可能性はあるが、規定に合致していない欠陥が依然として存在している場合
⑤以前の審査意見通知書において拒絶の根拠となる事実、理由または証拠を明確に指摘していなかった場合

(5)復審

復審は、拒絶された出願のみを対象とする。取り下げとみなされる出願や取り下げられた出願には、復審は適用されない。

・拒絶査定を受領した日から3カ月以内に国務院専利行政部門に復審を請求し(特許法第41条の1)、復審請求費を納付しなければならない(特許法実施細則第96条)。
・復審請求が受理された後、拒絶査定を下した元の審査部門による前置審査で拒絶査定の取り消しに同意する場合は、合議審査に入らない(特許法実施細則第62条)。
・専利復審委員会が合議審査において欠陥を見つけた場合は復審通知書を送付し、出願人は、通知書を受領した日から1カ月以内に書面回答しなければならず、回答しても規定に合致しない場合、元の拒絶査定を維持する決定が下される(特許法実施細則第63条の1)。同一の復審通知書に対して、最多で1カ月あるいは2カ月の延期を2回請求することができ、同時に相応の費用を納付する必要がある(1回目の延期:300元/月、2回目の延期:2000元/月)。
・復審段階においては、復審請求提出時、復審通知書回答時、口頭審理参加時のみ文書を補正することができ、拒絶査定または復審通知書に指摘された欠陥のみの補正が許され、保護範囲の拡大および請求項の種類の変更をしてはならない。
・復審决定に不服がある場合、復審决定を受領した日から3カ月以内に法院に提訴することができる(特許法第41条の2)。

(6)特許権付与

・実体審査を経て拒絶理由が見つからない場合、国務院専利行政部門により特許権付与の決定を下し、特許証明書を送付し、同時に登録および公告を行う。特許権は公告の日から発効する(特許法第39条)。
・特許権付与通知を受領した日から2カ月以内に登録手続きを行い(特許法実施細則第54条)、手続きを行う際に印紙税および特許権付与年の年金を納付しなければならない(特許法実施細則第97条)。
・特許権付与年以降の年金は、前年度の期限満了前に納付しなければならない。期限満了になって未納付または納付不足である場合、期限満了日から6カ月以内に追納し、月数に応じて滞納金を支払わなければならない。さもなければ、特許権は年金納付期限満了日をもって終了する。ただし、特許権終了通知書を受領した後、2カ月の期限内に権利を回復できる(特許法実施細則第98条)。
・特許権の期限は、出願日から20年である(特許法第42条の1)。

CONTACT

お問い合わせ

特許・意匠・商標の国内・国外出願に関するご依頼はフォームよりお問い合わせください。