DESIGN 中国意匠制度の概要とフローチャート

概要

・中国の意匠出願において、出願提出から意匠権付与までのプロセスは、以下に示すように、主に(1)出願提出、(2)方式審査、(3)復審、(4)意匠権付与である。そのうち、(1)出願提出、(2)方式審査、(4)意匠権付与は必須プロセスであり、(3)復審は、(2)方式審査において意匠が拒絶された場合に限って進められる。
・意匠権は公告の日から発効する(特許法第40条)。意匠権の存続期間は15年であり(2021年改訂後)、出願日から起算する(特許法第42条の1)。
・2021年6月1日に発効した改訂後の特許法第2条の4に基づき、意匠は、製品の全体的な設計に限らず、製品の一部の形状、図案またはその組み合わせ、および色彩と形状、図案との組み合わせを保護できるようになった。

(1)出願提出

・出願する際は、願書、当該意匠の図面または写真、および当該意匠に対する簡単な説明などの書類を提出しなければならない。提出する関連図面または写真においては、保護を請求する製品の意匠を明確に表示しなければならない(特許法第27条)。
・意匠の簡単な説明においては、意匠に係る製品の名称や用途、意匠の設計要点を明記し、また設計要点を最も明示できる図面または写真を1枚指定しなければならない。図面を省略または色彩の保護を請求する場合、簡単な説明に明記しなければならない(特許法実施細則第28条の1)。
・同一製品の二つ以上の類似意匠(10個を超えてはならない)、あるいは同一類別かつセットで販売または使用される製品に用いられる二つ以上の意匠は、1件の出願として提出することができる(特許法第31条の2)。同一製品の複数の類似意匠を1件の出願として提出する場合、簡単な説明において複数の類似意匠のいずれか一つを基本意匠として指定しなければならない(特許法実施細則の第28条の2)。二つ以上の意匠を1件の出願として提出する場合、各意匠の通し番号を意匠に係る各製品の各図面または写真の名称の前に記載しなければならない(特許法実施細則第35条の3)。セット製品の意匠には、ある一つまたは複数の製品の類似意匠を含んではならない。
・GUI(グラフィカルユーザインターフェース)を含む製品の意匠について
①名称:GUIの主な用途および当該GUIが適用される製品を明記しなければならず、一般的には、「図形用戸界面」というキーワードを有する必要があり、ダイナミックGUIに係る製品の名称は、「動態」というキーワードを有する必要がある。「図形用戸界面」だけを用いて大まかに製品の名称としてはならない。
②図面または写真:設計要点がGUIのみにある場合、当該GUIを含む表示スクリーンパネルの正面図を少なくとも提出しなければならない。
③簡単な説明:当該GUIを含む表示スクリーンパネルの正面図のみを提出する場合、その表示スクリーンパネルが適用される最終的な製品を枚挙しなければならない。必要に応じて、GUIの製品における領域、HMI(人間と機械とのやり取り)方法、および変化プロセスを説明する。
・製品の一部の意匠を出願する場合、保護を請求する一部と、その一部が位置する製品全体とを製品の名称に明記しなければならない。また、製品全体の図面を提出し、かつ破線(他の部分を示す)と実線(保護を請求する一部を示す)との組み合わせまたは他の方法により、保護を請求する内容を明示しなければならない。他の方法により保護を請求する一部の意匠を示す場合、その一部を簡単な説明に明記しなければならない。
・意匠遅延審査を請求する場合、出願人は意匠出願の提出と同時に提出しなければならず、遅延期限は遅延審査請求の発効日から1年、2年または3年である。遅延期限満了後、当該出願は順番に審査を待つ。遅延審査請求は、提出してから取り下げてはならない。

(2)方式調査

・方式審査においては、主に、①出願書類の形式審査、②出願書類の顕著な実質的欠陥の審査、③他の書類の形式審査、④関連費用の審査が行われる。
・出願人は、補正通知書または審査意見通知書を受領した日から2カ月以内に補正または意見陳述しなければならない。各補正・審査意見通知書に対して、1カ月または2カ月の延期を1回のみ請求することができる。期限までに補正・審査意見通知書に回答しない場合、審査員は場合によって取り下げとみなす通知書または他の通知書を送付する(所定の期限内に権利を回復できる)。
・出願人は、出願日から2カ月以内に自発補正を提出でき(特許法実施細則第51条の2)、2カ月を超えた補正について、補正された書類が元の出願書類の欠陥を取り除き、かつ権利付与の見通しがある場合は、当該補正書類は認められる。自発補正の内容は元の図面または写真に示された範囲を超えてはならない。
・出願人が補正・審査意見通知書を受領した後で出願書類を補正する場合、通知書に指摘された欠陥について補正すべきである(特許法実施細則第51条の3)。補正内容は元の図面または写真に示された範囲を超えてはならない。

(3)復審

・復審は、拒絶された出願のみを対象とする。取り下げとみなされる出願や取り下げられた出願には、復審は適用されない。
・拒絶査定を受領した日から3カ月以内に国務院専利行政部門に復審を請求し(特許法第41条の1)、復審請求費を納付しなければならない(特許法実施細則第96条)。
・復審請求が受理された後、拒絶査定を下した元の審査部門により前置審査を行い、元の審査部門が拒絶査定の取り消しに同意する場合、合議審査に入らない(特許法実施細則第62条)。
・専利復審委員会が合議審査において欠陥を見つけた場合は復審通知書を送付し、出願人は、通知書を受領した日から1カ月以内に書面回答しなければならず、回答しても規定に合致しない場合、元の拒絶査定を維持する決定が下される(特許法実施細則第63条の1)。同一の復審通知書に対しては、最多で1カ月あるいは2カ月の延期を2回請求することができ、同時に相応の費用を納付する必要がある(1回目の延期:300元/月、2回目の延期:2000元/月)。
・復審段階においては、復審請求提出時、復審通知書回答時、口頭審理参加時のみ文書を補正することができ、拒絶査定または復審通知書において指摘された欠陥のみを補正することができ、元の図面または写真に示された範囲を超えてはならない。
・復審決定に不服がある場合、復審決定を受領した日から3カ月以内に裁判所に提訴することができる(特許法第41条の2)。

(4)意匠権付与

・方式審査を経て拒絶理由が見つからない場合、国務院専利行政部門により意匠権付与の決定を下し、意匠権利証明書を送付し、同時に登録および公告を行う。意匠権は公告の日から発効する(特許法第40条)。
・意匠権付与通知を受領した日から2カ月以内に登録手続きを行い(特許法実施細則第54条)、手続きを行う際に登録費、公告印刷費および意匠権付与年の年金を納付しなければならない(特許法実施細則第97条)。

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