スターバックスのドリンクカップの蓋も知財である

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「知財(知的財産)」とは具体的にこういうもの、と答えられる人は、一般的にあまりいないように思います。
少し前に知財ドラマ「それってパクリじゃないですか?」が放送されていたので、ご覧になった方はなんとなくイメージがつくかもしれません。

知財とは、人間の思考・活動などにより生み出され、財産的価値のあるアイデアや創造物などの総称です。
とても大げさなものに聞こえるかもしれませんが、実は知財はとても身近なものであり、意外なところにも存在します。
知財業界では当たり前のことでも、業界外の人間には驚かれるのだとグループ会社の社員と話していて気付いた知財があるので、一部をご紹介いたします。知財に興味がわくきっかけや、アイスブレイクのネタになれば幸いです。

身近にある特許

スターバックスのカップの蓋

ドリンクを購入した際、カップについてくる蓋(リッド)。普段何気なく手にしていますが、実は特許が与えられていました。
特許を与えられたのは、この蓋に
①飲み口があること
②上唇を受ける凹みがあること
③凹部分に排出口があること
が評価されたと考えています。
①~③により、歩きながらでもこぼさずに飲むことができます。

他にも、マドラーが栓代わりになったり、マドラーが廃止されてからは飲み口に蓋ができる構造になったりと、さまざまな知財があります。
「居心地の良さ」を大切にしているスターバックスならではのアイデアを、きちんと権利化して守っているとても良い例だと思いました。

※参考
https://patents.google.com/patent/US4589569A/en?oq=4589569
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/DE/JP-2005-015526/F42439FFDA3A13ED5EF933A1BC96E2CB6D420EAAFF5F4CAA771BA3DF8AD8D37C/30/ja
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-2001-120414/4684EFCDCB40933A98E62A1CA39690E4D67998440031AFCB120176556D5E9595/11/ja

意外な特許

マイケル・ジャクソンの靴

マイケル・ジャクソンも特許を持っていました。
「Smooth Criminal」という楽曲をご存じでしょうか?
床を滑るように歩くムーンウォークと並んで有名なのが、体を斜め45度で静止させるゼロ・グラヴィティです。
初めて見たときはすごい筋力だと驚いたものですが、実はあのポーズ、靴が床に固定できる作りになっており、この靴と固定具に特許が与えられています。
もちろん靴が固定されていたとしても、あの角度で体勢を保つのは至難の技。種があると知った時は少し拍子抜けしてしまいましたが、発想力とアイデアには感服せざるを得ません。

参考:https://patents.google.com/patent/US5255452

任天堂(株)の「通信麻雀ゲーム」特許網

任天堂(株)の「通信麻雀ゲーム」関連特許が興味深かったのでご紹介させてください。

「特許にならないもの」として特許庁は「人の精神活動」、「ゲームのルールのみを利用した遊戯方法にすぎないもの」を例示しています。

※参考:https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/document/index/03_0100.pdf

「通信麻雀ゲーム」関連特許では、「人の精神活動」、「ルールのみを利用した遊戯方法にすぎないもの」の条件を以下2点によりクリアしており、通常の麻雀の遊戯方法とは全く異なることがわかります。
①麻雀の対戦者に当たりとなる危険牌をコンピュータにより決定して表示(特許3410728号、現在失効)
②(1)麻雀のアガリ役の役構成情報を記憶。(2)役構成情報に基づき、プレイヤーの手牌を利用したアガリ役(目標手牌)をコンピュータにより決定し表示(特許第3633527号、現在失効)

特許第3410728号や特許第3633527号は、麻雀ゲームの進行に影響しないため、競合他社も、これら特許を回避して通信麻雀ゲームをつくることは容易です。しかし、通信麻雀ゲームの演出面を考慮すると、競合他社は、特に特許第3410728号に強い関心を持ったかもしれません。実際、特許第3410728号に関しては、複数回にわたって内容確認のための手続き(ファイル記録事項の閲覧申請)がなされています。あるゲームメーカーの通信麻雀ゲームでは、現在、危険牌の表示機能が実装されています。この会社がいつからこの機能を実装したのかは不明ですが、特許第3410728号がこの会社の製品開発に影響を与えたかもしれませんね。

「ゲーム機で危険牌を表示する」や「ゲーム機で目標アガリ役を表示」という、一見誰でも思いつきそうな技術をいち早く特許出願し、通信麻雀ゲーム関連の特許網を構築した点で非常に興味深いと思いました。

特許をとるということ

身近な知財や意外な特許をご紹介しましたが、特許権の取得により、競合他社の自社事業への参入障壁も構築できます。特許権の取得は、自社事業を有利に進めるための一つの手段です。
自社事業を守るための特許も重要ですが、一見当たり前のようなアイデアであっても、競合他社が興味を持つような特許(他社拘束力が高い特許)を取得すれば、自社事業を有利に進めることができると考えます。

北浜国際特許事務所では、他社拘束力等、「特許権を使うこと」まで想定した特許出願をご提案いたします。
もしこれから特許をとることを目指している方がいらっしゃいましたら、ぜひ北浜国際特許事務所の名前を覚えておいていただけるとうれしいです。

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