「知財権利化」×「経営コンサル」について

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北浜国際特許事務所のスローガンは「知を活かす経営戦略」です。
現在、当所は「知財権利化」×「経営コンサル」のアプローチでお客さまにサービスを提供しています。このように聞くと、「知財権利化」と「経営コンサル」の組み合わせは、珍しく見えるのかもしれません。そこで、今回のコラムは「知財権利化」×「経営コンサル」について取り上げます。

二つの視点によって生まれる新たな価値

ところで、皆さまは、外国語を学ぶ意義をどのようにお考えでしょうか?
まず、外国語を学ぶと、外国の方とコミュニケーションをとることができます。例えば英語をマスターすると、世界中の多くの方と容易に情報交換できます。それに加えて、外国語を学ぶことによって、母国語のなりたち・仕組みを理解できるようになる利点もあると考えています。母国語だけで考えていると理解できなかったことも、母国語と外国語を比較することで、両者の視点から物事について理解を深めることができます。つまり別視点をもつことで視野を広げることができるのです。

これまで、いわゆる特許事務所は、知財を効率的に権利化する業務を担ってきました。この業務は、少なくとも私が業界に入ってから20年以上という長きにわたり、大きな変化を必要としなかった業務の一つと考えています。

確かに、知財業務は専門性が高く、その考え方をマスターするまで一定の期間を要します。その一方で、知財業務は一定の熟練度に到達すると、取り扱う技術こそ逐次変わるものの、特定作業を繰り返す“繰返業務”に陥りがちです。私を含む日本人の多くは職人(専門家)に対するリスペクトが強く、知財実務も、長い修行期間を要する職人の途に通じるものです。しかしながら、それ故に、多くの知財実務家は、“繰返業務”に安住しているのではないでしょうか?

当所は特許事務所ですが、当所のグループ企業には経営コンサル会社である北浜グローバル経営(株)があり、「経営コンサル」に関わる機会が多くあります。そして現在、当所は「知財権利化」×「経営コンサル」との融合により、新たな価値創造を目指しています。

一見すると、「知財権利化」と「経営コンサル」との関連性を何ら見いだせないようにも思えます。「知財」は、企業の知的財産の権利化に関し、主として企業の知財部および発明者とやり取りすることが一般的です。それに対して「経営コンサル」は、企業の経営に関し、経営者とやり取りするものであり、両者の対象者および目的は同じではありません。

しかしながら、「知財権利化」および「経営コンサル」の違いは、印象ほど大きくないと私は考えます。

「知財権利化」「経営コンサル」の共通点

一般的に「知財権利化」では、企業の知的財産を分析・検討して特徴部分を抽出します。例えば特許出願時には、発明を分析して構成要素・機能・工程に分けて言語化します。さらに、発明の販売態様についても確認して発明の対象を提案する事務所もあるかもしれません。その上、拒絶理由の応答時には、実施形態と文献技術の相違点を抽出して、相違点に基づく効果を主張することもあるでしょう。

一方「経営コンサル」では、種々のフレームワーク(SWOT、3C、4P等)にしたがって企業・市場を分析して企業経営の進むべき道をアドバイスします。企業が新事業に取り組む場合、対象企業と競合企業との相違点(強み・弱み)を抽出し、強みを生かした新事業プランを立てるとともに、収益計画を構築することもあるかもしれません。

「知財権利化」および「経営コンサル」のいずれも、用いる言葉こそ違えど、対象を分析してお客さま企業に提案する点は同じです。いずれも多くの要因が複雑にからまった事象を、複数の項目に分けて検討する分析を必要とします。まずは的確な質問によってお客さま企業の現状を聞き出し、専門的な知見に基づいてお客さまの状態を俯瞰してアドバイスを行います。
対象物と類似物との相違点を抽出して「言語化」「視える化」した上で、相違点に基づいてお客さまの進むべき道を提案する。これは、「知財権利化」および「経営コンサル」のいずれにも共通しているのではないでしょうか?

例えていうと、「知財権利化」と「経営コンサル」の関係は、日本語と韓国語の関係に似ているのかもしれません。以前、アメリカ人の講師から、「日本語は文法的に韓国語に近く、同種の言語にみえる」と聞いたことがあります。私は、韓国語がわからないため日本語が韓国語に近いと考えたこともありませんでしたが、その発言は目からウロコでした。「知財権利化」と「経営コンサル」も、近視眼的にみると全く別物のように見えますが、俯瞰的にみると実は似ているのかもしれません。

これからの変化に対応するために

これまで「知財」は「経営」から離れているように見えていたのかもしれません。しかし、お客さま企業にとって「知財権利化」は経営活動の一端であり、特許出願も経営戦略の一つなのです。ではなぜ離れて見えたかというと、「知財」と「経営」のお互いの言語を理解・説明できる人間が少なかったからではないかと考えています。

「知財権利化」および「経営コンサル」の両方からお客さま企業を理解し、最適な道を提案する。何十年にもわたって“繰返業務”に安住してきた特許事務所が、新たな価値を提供すべき時代になりつつあると感じています。当所は、「知財権利化」×「経営コンサル」のアプローチにより、お客さま企業の新たな価値を提供すべく精進してまいります。

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