100年に一度の変革期に注目される“CASE”と、関連する特許出願動向について

目次

自動車業界は、100年に一度の大変革期を迎えており、CASEという言葉が近年注目されています。以下、CASEについて説明します。

CASEとは

Connected(C)、Autonomous(A)、Shared&Service(S)、Electric(E)の頭文字です。CASEによって、安全性・利便性が高く、持続可能で環境に優しい次世代のモビリティサービスが実現されると期待されています。

C(自動車のIoT)

C(Connected)は、車同士、車とインフラ、車と人、車とネットワークがつながることです。コネクテッドによって、交通情報の取得、駐車場の空き情報の取得、事故故障発生時の自動通報システム、盗難時の自動追跡システムなどが、既に実用化されています。

A(自動運転)

A(Autonomous)は、自動運転のことです。自動運転は、以下に示すように段階的にレベル0~レベル5までレベル分けされています。レベル3以上は責任の主体がシステムになるため、法整備も必要です。

レベル責任の主体名称特徴
0ドライバー自動運転なし
1ドライバー運転支援システムが前後(加速・減速)・左右(ハンドル操作)の
いずれかの車両制御を限定領域において実施
2ドライバー部分運転自動化システムが前後(加速・減速)・左右(ハンドル操作)の
両方の車両制御を限定領域において実施
3システム条件付き運転自動化システムが特定条件下(高速道路のみ、晴れのみ等)において運転を実施
(作動継続が困難な場合は、ドライバーが適切に対応することが必要)
4システム高度運転自動化システムが特定条件下(高速道路のみ、晴れのみ等)において
運転を実施
5システム完全運転自動化システムが常に運転を実施
※2022年の道路交通法の法改正により、レベル4の公道走行が可能となる見通しです。

S(カーシェアリング)

S(Shared&Service)は、カーシェアリングやライドシェアリングが該当します。カーシェアリングは、自動車を共同使用することであり、ライドシェアリングは、乗ることをシェアする(つまり、相乗りする)ことです。カーシェアリングについては、国内においても多くの企業がサービスを提供しています。

E(電気自動車)

E(Electric)は、電気自動車のことです。電気自動車は、地球温暖化対策としての温室効果ガスの削減に向けた世界的な潮流に合致しており、近年、電気自動車の販売台数は急速に増加しています。また、電気自動車は、そのシステム構成から、A(自動運転)やC(Connected)と相性がよいとされています。

自動運転と特許出願動向

CASEに関連する技術動向として、特許庁は「令和2年度特許出願技術動向調査MaaS(Mobility as a Service)自動運転関連技術からの分析」を公表しています。2014~2018年の特許出願が対象です。以下、この概要について述べます。

自動運転関連技術およびMaaS関連技術に関する出願件数

出願人国籍別での出願件数では、日本国籍が約22,000件で全体の約35%を占めました。次いで、米国籍が約13,000件、独国籍が約8,200件、中国籍が約8,000件と続きます。

その一方、出願先件数では、米国への出願が約16,000件、中国への出願が約15,000件、欧州(独を含む)への出願が約14,000件で、日本への出願は、約11,000件でした。なお、日本への出願件数が少ないのは、出願先件数が市場規模を反映しているためであると考えられます。

自動運転関連技術に関する出願件数

自動運転関連技術に関する出願件数は、前述した“自動運転関連技術およびMaaS関連技術に関する出願件数”のうち、約86%も占めています。これは、自動運転ではセンサ、認識、判断、人工知能、運転制御など、必要となる技術分野が広いことが理由であると考えられます。

自動運転関連技術に関連する出願件数については、日本国籍が約20,000件で全体の約37%を占めました。次いで、米国籍が約11,000件、独国籍が約8,000件、韓国籍が約5,400件、中国籍が約5,000件と続きます。

まとめ

自動車業界では、安全性・利便性が高く、持続可能で環境にも優しいモビリティサービスの実現に向け、技術革新を続けています。弊所は、お客様のこれら知的資産の価値向上に寄与することによって、社会の進歩発展に貢献してまいります。

SHARE
BACK TO INDEX

RELATED

関連コラム

CONTACT

お問い合わせ

特許・意匠・商標の国内・国外出願に関するご依頼はフォームよりお問い合わせください。